9月4日(水曜)、流山市文化会館大ホールにて、現在、生涯学習センターで開催中の無言館所蔵作品による戦没画学生「祈りの絵」展の関連企画として、黒坂黒太郎コカリナコンサートが開催されました。将来、画家を目指しながらも、太平洋戦争に駆り出され、無念の死を遂げた若者が残した作品を集め展示している美術館「無言館」(窪島誠一郎館主)は、長野県上田市にあります。そのすぐそばで生まれ育った黒坂さんは、「いつか無言館の作品と共に、コンサートを開催することが夢だった。念願が叶いました。」と語りました。
黒坂さんは1995年、ハンガリーから持ち帰った笛をもとに、コカリナを開発しました。リード部分に至るまで全て木でできたコカリナは、その澄んだ音色が特徴です。今回のコンサートでも、FUKUZAWA Tatsurouさんのピアノ、矢口周美さんの歌声と息のあったアンサンブルのもと、「ひばり」(野外演奏では野鳥も一緒に鳴くほどのリズムです)、「賽馬」(中国語で競馬の意味)といった軽快な曲目で会場を沸かせました。また黒坂さんは、東日本大震災の復興支援にも取り組んでおり、目標とした100回のコンサートはもう目前に迫っているとのこと。会場でも、ヒロシマの被爆樹、陸前高田の被災松から作られたコカリナを奏でて、「ユー・レイズ・ミー・アップ あなたがいたから」(黒坂さん自身が初の日本語訳を行っています)、「アメイジンググレイス」といった鎮魂を込めた荘厳な曲目が披露され、多くの観客を魅了しました。
実は、流山市でのコンサートは、3年前のアメリカ人従軍写真家ジョーオダネルの原爆写真展との同時開催に続き2回目となる黒坂さん。前回のコンサート開催の際に、ボランティアで主催した市民の皆さんに、生まれ故郷にある「無言館」の存在を紹介したそうで、今回の「祈りの絵」展のきっかけにもなっています。3年前のコンサートでも多くの市民の皆さんが、コカリナの音色に魅了され、コカリナサークル流山を結成して今も練習に励んでいます。また「流山の唄を黒坂さんに作曲してほしい」と多くのリクエストがあったそうです。
そこで今回、流山のまちをモデルにした里唄「川風の町」が、コカリナサークル流山の皆さんの伴奏で初披露されました。「風が川から流れてくる 二つの川に囲まれた町」と、流山の情景が浮かんでくる歌詞と流れるようなメロディーで、会場のあちこちから観客の皆さんの口ずさむ声が聴かれました。そして全ての曲目終了後、アンコールを求める満場の拍手に応えて、会場全体で「川風の町」の合唱となりました。観客の皆さんからは、「無言館の作品とコカリナの音色を感じることで、平和の大切さを実感しました。」、「コカリナを通じて、もっと多くの人に平和の大切さが伝わるといいですね。」といった声が聞かれました。
主催者の「無言館展」流山実行委員会の上谷章夫委員長が、「戦中の思いや記録が風化しないように、特に戦後生まれの方々にぜひご覧いただきたい」と呼びかける、戦没画学生「祈りの絵」展は、9月16日まで生涯学習センターで開催しています。時間は10時〜17時。観覧料500円(高校生以下、障害者手帳をお持ちの方は無料)。無言館の所蔵作品による展示会は、千葉県では初開催となる貴重な機会です。この機会にぜひご覧ください。
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