美術学校や独学で絵を学び、将来は画家を目指していた多くの若者が太平洋戦争に駆り出され、無念の死を遂げています。そうした学生などが残した作品を集め展示している美術館「無言館」(窪島誠一郎館主)が長野県上田市にあります。その無言館の所蔵作品による戦没画学生「祈りの絵」展(同実行委員会主催、上谷章夫委員長)が8月31日(土曜日)から生涯学習センターで始まり、多くの来場者が訪れています。
無言館では、全国の戦没画学生130人の絵や画材など700点を所蔵しています。今回は、そのうち38人の作品72点が展示されています。この日は、オープンに先立ち生涯学習センターのロビーでセレモニーが行われ井崎市長、池森流山商工会議所会頭、上谷実行委員長によるテープカットなどが行われました。主催者の挨拶で上谷委員長は、「無言館の所蔵作品による展示会は、千葉県では初開催です。戦中の思いや記録が風化しないように、特に戦後生まれの方々にぜひご覧いただきたい」と呼びかけました。
展示されている作品は、ふるさとの風景や草花、自画像、婦人像などさまざまです。作品には、生年と出生地、さらに戦没された期日、場所と享年が記されプロフィールと、「東京美術大学を首席で卒業。だれもが認める画才の持ち主だった。絵は妻と後添えのご主人が守り、今は遺族が大切にしている。孫娘たちも若くして亡くなったおじいちゃんの絵が大好きだ」といったコメントも添えられています。
展示作品のほかに、遺品となる画材や野球ボール、結婚式の写真、戦地から家族へ宛てた手紙なども並べられ胸を打ちます。さらには、家族が涙しながら受け取ったであろう「死亡証書」も数多く展示され、当時の悲しみが伝わります。柏市から見学にいらした松本淑子さん(69)は、「10年位前に家族旅行で無言館に立ち寄ったことがあり、感動とともに涙しました。新聞で流山での開催を知り、近くでまた見られるとうれしかったです。作品を残された皆さんが、戦争で亡くならなければどれだけ活躍されたかと思うと胸が詰まります」と語ってくださいました。
同展示会は、9月16日まで開催。時間は10時〜17時。観覧料500円(高校生以下、障害者手帳をお持ちの方は無料)。なお、関連イベントが次のとおり開催されます。こちらにもぜひ、ご来場ください。
【黒坂黒太郎コカリナコンサート】
黒坂黒太郎さんは1995年、ハンガリーから持ち帰った笛をもとに、日本の木工家たちとコカリナを開発しました。リード部分に至るまで全て木でできたコカリナの澄んだ音色をお楽しみください。
▽日時=9月4日(水)14時〜16時 ▽場所=文化会館 ▽チケット代=2,000円(絵画展観覧チケット付き)※全席自由、生涯学習センター・文化会館・紀伊國屋書店流山おおたかの森展で販売
【無言館 館主・窪島誠一郎講演会】
1997年に無言館を開設。第53回菊池寛賞を受賞。窪島氏に、無言館開館に至る経緯や歴史について語っていただきます。講演終了後にはサイン会も行います。
▽9月7日(土)14時〜 ▽場所=生涯学習センター ▽入場料=無料
【平和願う 朗読と音楽のつどい】
戦没画学生への祈りを込めて、平和な未来への希望を込めて、様々なグループによる演奏や朗読、合唱などを行います。市内の童話作家・白木惠委子さんによる「青いぶどう」(白木さん作)の朗読も行われます。
▽9月8日(日)14時〜 ▽場所=生涯学習センター ▽入場料=無料
問い合わせ=生涯学習センター 04-7150-7474
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