ページ番号1009738 更新日 平成29年9月15日
本日ここに、平成24年流山市議会第1回定例会を招集いたしましたところ、議員各位には、全員の御出席を頂き有難うございます。
今定例会は、平成24年度当初予算7件、補正予算7件、条例の新規制定2件、条例の一部改正12件、条例の廃止1件、その他議案3件の合計32件及び報告4件について、ご審議をお願い申し上げます。
市政に関する報告及び提案理由の説明に入ります前に、新年度に当たり、本市自治体経営に関する基本的な考え方と所信の一端を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
1 はじめに
昨年は、東日本大震災という未曾有の災害が発生し、日本全体が大きな影響を受けた年でした。
流山市では、福島第一原発事故による放射能問題により、除染対策や焼却灰の処理など、いつ終焉を迎えることができるのか見通せない状況にありますが、市民の皆様の安全はもとより安心を確保するため、引き続き、この問題に全身全霊を傾けていくことが私の使命であると認識しています。
また、この問題に関しては、多くの市民の皆様からのご協力を頂いておりますことに心より感謝を申し上げます。
先の東日本大震災の惨禍を教訓として、市民の生命と財産を守る安心安全に配慮した施策の推進は、本市の喫緊の課題となっています。これまでの想定をはるかに超える大規模な災害の発生を念頭に、現在地域防災計画の見直しを行っています。
さらに、平成24年度には市民の安心安全を確保し、防災業務の専門性を高めるため、専門知識と大規模な指揮系統の経験のある防衛省職員を任期付き職員として採用します。そして、現在の安心安全課総合安全対策室を格上げし、防災危機管理課を設置致します。ここでは、災害情報の一元化や災害時における全庁の統括、調整に当たって参ります。
今後、庁内の危機管理体制や情報伝達手段の整備検討、更には地域の自主防災組織の拡充や地区別防災訓練の実施など迅速かつ的確な防災危機管理体制の構築を図っていきます。
さて、これまでの9年間、1円まで活かす市政の推進として、無駄を見直し、より効率的かつ効果的な市政経営の実現に注力をしてまいりました。その結果、流山市の財政基盤は着実に改善し、市民サービスの向上にも反映することが出来ました。
そのことは各種自治体に関する調査結果にも表れており、平成23年10月に日本経済新聞社が全国809の市区を対象に実施した、自治体運営の改革度合いを評価する、『全国市区経営革新度調査』において、行政の透明度、効率化度・活性化度、市民参加度、利便度の総合評価において三鷹市、厚木市に次いで全国第3位となり、またこの3市のみが総合評価の格付けで最高評価のAAAの評価をいただきました。
また、千葉県が1月30日に発表した昨年1年間の県内人口動態では、東日本大震災の影響で、昭和36年以降初めて人口が減少に転じました。しかし、流山市は1,900人ほどの増加があり、放射能問題で一時的に減少した月があったものの、人口増加数では県内の自治体の中でトップとなりました。
これまで実施してきた諸施策の成果が反映され、流山市は全国的にも魅力のある、先進的と評価される自治体へと変貌しつつあるものと受け止めております。
一方、13年後には本市の人口はピークに達し、その後、緩やかな人口減少に転ずると予想されています。
それまでの間、団塊の世代を中心に高齢者が急増するため、本市は全国的な高齢化のスピードよりもさらに早いスピードで長寿社会が訪れると想定され、これを念頭にした施策展開が求められています。
2 流山市が目指すもの
流山市は、つくばエクスプレスによって都心への交通利便性が飛躍的に高まり、首都至近の住宅都市として、今後も、発展の可能性、潜在力を秘めております。
それらをいかに引き出し顕在化するか、また、将来にわたり発展し続けるしくみ・しかけを構築するか、さらには変化する人口構成と市民ニーズを先読みしながら政策を展開していくかが重要であり、「現状維持は衰退」という認識を持って、本市の経営に当たってまいる所存です。
イギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィンの「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」という言葉は、自治体経営にもあてはまると考えます。
3 子育て世代に選ばれる街づくり
将来にわたって納税者として本市財政の担い手となるDEWKS(double employed with kids)と呼ばれる共働きの子育て世帯の方々にとって魅力のある施策を展開し、子育てしやすい環境を整えることが、本市の末永い発展に不可欠であると考えています。
昨年3月以降、流山市が置かれた状況において喫緊かつ最大の課題は、放射性物質の除染活動です。
特に、子どもたちが多く利用する施設を最優先にした除染実施計画に基づく対策を速やかに着実に実施していくことが求められています。
この対応及び結果は、今後の子育て環境の評価を大きく左右することになると認識しています。
また、「都心から一番近い森の街」流山の、緑豊かな環境を活かした良質な住環境の整備・創出と合わせて、子育て世代の方々に流山を選んで頂けるよう、保育所の整備を行い、良くわかる授業、楽しい学校を目指し、特に子ども達が国際社会の中で生きていくための英語教育に力を入れるなど、子育て環境及び教育環境の充実に努めてまいります。
4 地域経済の活性化
一方、流山市が末永く発展するためには、地域経済の活性化の基盤づくりも、本市経営の重要な柱です。
これまで、長期間にわたり、流山市では「人」「物」「お金」が市外に流出しておりました。しかし、それらの市外流出を防ぎ、逆に市外から市内へ流入させることによって、地域経済を強化する必要があります。
そのため、本市の施策を戦略的に進めていくことが重要であり、TX沿線の基盤整備において、音響に配慮した多目的ホールやバンケット機能を有するホテル、さらには公式競技及び広域的利用のできる市民体育館の建設など、交流人口を増大させる都市機能の充実に努めて参ります。
また、一方で本市の歴史的な資源である流山本町の魅力を掘りおこし、同時に、利根運河の自然を魅力ある観光資源として最大限に引き出し、交流人口の増加と地域経済の活性化に努めてまいります。
5 効率的・効果的な自治体経営を推進
さらに、効率的・効果的な自治体経営を推進するため、職員の専門性、マネジメント能力、コーディネート能力を高めるための研修を行うと同時に、頑張る職員を適切に処遇するために抜本的な人事制度改革にも取り組んでまいります。
さらなる「1円まで活かす市政」の実現に向けて職員一丸となって一層の創意工夫を凝らし、より少ない費用、より大きな成果を目指してまいる所存ですので、市民の皆様、そして市民の代表である議会の皆様方の御理解と御協力をお願い申し上げます。
6 予算編成について
以上の方針のもと編成いたしました、平成24年度予算について申し上げます。
平成24年度流山市一般会計、歳入歳出予算総額は、前年度に比較して、22億400万円、5.2%増の442億200万円で、特別会計及び水道事業会計を合わせた予算総額は、812億769万8千円で、対前年度比38億3,110万円、5.0%の増となりました。
この内、放射能対策経費として、14億2,681万2千円を計上しており、放射能対策経費を除いた予算総額は、対前年度比24億428万8千円、3.1%の増となります。
長引くデフレ、円高の影響を受けて、景気の回復が遅れている中で、年少扶養控除の廃止に伴い、市税が4億1,317万4千円増額となりました。
しかしながら、市民生活の安心安全を一日も早く回復するための放射能対策事業の実施に伴う他事業への影響を最小に抑えるために、財政調整積立基金から、取り崩すこととし、その額は、対前年度比4億3,600万円、167.7%増の6億9,600万円となりました。
この金額は、国の「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(放射性物質汚染対処特措法)」の基準よりも厳しい子育て施設に対する本市の除染対策を行う為のものです。
また、市債の発行につきましても、多くの一般財源を放射能対策事業に振り向ける必要があることから、対前年度比1億6,290万円、4.2%増の39億9,890万円となりました。
放射能対策以外では、後期基本計画の上期最終年度に当たりますことから、次の中期実施計画へ繋げていくために、計画に沿って事業を行うことで、各施策を持続的に展開してまいります。
7 具体的な施策の展開
次に具体的な施策の展開として、平成24年度予算における主要事業を、総合計画の施策体系に基づき、また、市議会議員の皆様には既に配付してございます「平成24年度主要事業」の冊子から主なものについて申し上げます。
初めに、放射能対策関連事業については、流山市除染実施計画に基づき、「小中学校施設」、「幼稚園・保育所」、「学童クラブ」、「児童センター」、「障害者通所施設」、「子どもの遊び場」、「公園」、及び「通学路を中心とした道路」など、子どもが多く利用する施設の除染をはじめ、合計 14億2,681万2千円、25事業を実施してまいります。
次に、都市基盤の整備に関する「整備・開発と自然環境のバランスがとれた流山」について申し上げます。
本市のまちづくりの中心となる「つくばエクスプレス沿線整備」については、市民の利便性の向上と、良質な市街地形成に向け、一日も早い事業の完了を目指し、引き続き努力してまいります。
現在、セントラルパーク駅前市有地については、開発事業者の公募を行っております。1月には、同じセンター地区の千葉県企業庁用地を医療法人が取得し契約に向けた手続きが進んでいますが、市有地についても、早期にこの地区に相応しい施設を迎えたいと考えており、今議会最終日には優先交渉権者を報告できるよう進めてまいります。
一方、流山おおたかの森駅前市有地についても、駅前市有地活用基本方針に基づき、開発事業者の公募、選定に係る一連の業務を「流山おおたかの森駅前市有地活用事業」として進めてまいります。
また、「既成市街地地区公園施設新設事業」では、(仮称)平和台2号緑地(通称:飛地山)の用地取得を行い、災害時の一時避難場所としても活用できる市民が親しめる公開緑地として整備を図ってまいります。
道路事業では、「江戸川台西口駅前広場改良事業」により、江戸川台駅西口広場の交通の利便性と安全性を確保し、魅力のある空間として平成24年度前半の完成に向け整備を進めております。
また、向小金福祉会館前の「市道前ヶ崎・向小金1号道路拡幅事業」の整備に着手し、道路線形の見直しとともに歩道の拡幅整備により歩行者の安全確保に努めてまいります。
さらに、JR常磐線を跨(また)ぐ「名都借跨線橋道路拡幅改良工事」に着手いたします。
下水道事業では、「野々下1号雨水幹線整備事業」や「向小金雨水幹線整備事業」を引き続き実施し、両地域の浸水被害の解消に向けた事業を推進してまいります。
また、運河駅利用者の利便性の向上を図るため、駅舎の橋上化とふれあい橋に通じる歩行者専用道路の整備を行い、平成24年度中の完成に向け「運河駅施設整備及び東口周辺市街地整備事業」を推進してまいります。
次に、生活環境の整備に関する施策であります「生活の豊かさを実感できる流山」について申し上げます。
地球温暖化CO2削減対策の一環として、「緑のカーテン事業」では、ゴーヤの苗の配布や講座をNPO団体に委託し、緑のカーテンの一層の普及を図ってまいります。
また、「リサイクル館包括管理運営事業」では、効率的な運営と機器整備費の平準化を図るため、施設全体の包括的な運営管理を行ってまいります。
「リサイクル団体育成支援事業」では、平成24年度から資源ごみの行政回収を廃止し、集団回収に一本化することにより、ごみの減量、資源化を図ってまいります。
さらには、「高齢者等ごみ出し支援事業」として、ごみ出しが困難なひとり暮らしの高齢者に対して、新たに戸別収集を行うとともに、高齢者の見守りも行ってまいります。
次に、「安心安全のまちづくり」を目指し、地震と台風など複合災害を視野に入れて見直し作業を行っている「地域防災計画修正事業」をはじめ、「自主防災組織防災資機材整備事業」、「南消防署建設事業」、「消防ポンプ自動車整備事業」など、市民の生命と財産を守る事業を進めてまいります。
また、57団体71自治会による自主防犯パトロール隊や市民安全パトロール隊による活動に対しては、「安心安全支援事業」として、地域の防犯活動の支援を行うほか、市ホームページをはじめ安心メールにより、災害・火災・防犯・環境に関する情報を、市民の皆様に正確かつ迅速に提供してまいります。
次に、教育文化の充実向上に関する施策であります、「学び、受け継がれ、進展する流山」について申し上げます。
耐震改修工事については、「北部公民館耐震改修工事」、「中央図書館及び博物館改修工事」により、利用者に安心で安全な施設環境を提供してまいります。特に、中央図書館では、高齢者や車いすの方が利用しやすいように通路整備工事も併せて実施してまいります。
「(仮称)新市街地地区小中学校併設校建設事業」では、UR都市機構により、設計業者が特定されたことから、本市スーパーバイザーの指導を仰ぎながら、小中学校併設に伴う効果を最大限に生かすとともに、今後、教職員の現場の声を反映できるよう教職員協議会を立ち上げるとともに、児童、生徒やPTA、地域の方を対象としたワークショップを開催してまいります。
また、東深井小学校では、地域の宅地開発に伴い児童数が予想以上に増加していることから、「小学校校舎等建設事業」及び「学童クラブ施設整備事業」により、学童クラブと併設の教室棟を増築してまいります。
次に、本市の将来を担う子どもたちの英語教育及び国際理解教育を推進するため、「小学校英語活動推進事業」及び「中学校ALT配置事業」を引き続き実施し、中学校全校でネイティブスピーカーによる英語教育が行われることになります。
また、「幼児教育支援センター運営事業」、「学校サポート教員派遣研究事業」など、教育全般の支援・充実に努めてまいります。
次に、耐震性の不足や老朽化が進む市民総合体育館については、昨年の第4回定例会で、一般報告させていただきましたが、UR都市機構が、INA(アイ エヌ エー)新建築研究所を基本設計業者として選定したことから、現在、関係団体と協議を進めております。平成24年度は、メインとサブの2つのアリーナと武道場、さらには避難場所も兼ね備えた新体育館として実施設計を行い、平成27年4月のオープンに向けて進めてまいります。
次に、市民福祉の充実に関する施策であります「だれもが充実した生涯をおくることのできる流山」について申し上げます。
まず、子育て世代の増加などによる保育需要の増大への対応が急務であり、待機児童の解消を図るため、「私立保育所整備補助事業」では、平成24年度は民設民営の保育園として、(仮)南流山地区保育園の新設、八木北保育園の建替え、おおたかの森ナーサリースクールの増築、江戸川台駅前保育園の新設に対して、建設費及び賃借料を補助してまいります。これにより、平成24年度は240人の定員増となり、平成22年度からの3カ年で13施設、約1千人の定員増を実現することになります。
また、「学童クラブ指定管理者事業」では、市内16か所の学童クラブについて、これまでの保護者を中心とした運営委員会方式から、指定管理者制度に変更します。さらには、「野々下児童センター」及び「野々下地域ふれあいセンター」についても、指定管理者制度を導入し、市民サービスの向上と経費の節減を図り、施設の効率的な運営を行ってまいります。
さらに、「障害児通所支援事業」では、これまで実施してきた「児童デイサービス」と「通所サービス」が法改正に伴い一元化されたことから、障害を持つ児童に対して、身近な地域で通所サービスが受けられるように支援を行ってまいります。
また、「保健センターESCO事業」では、ESCO事業者が設置、保有する設備等を使用することにより、省エネルギーに関する包括的なサービスを受けることにより、光熱水費などの削減を図ってまいります。
次に、耐震性の不足や老朽化が進む老人福祉センターについては、平成24、25年度の2箇年で施設の建替工事を実施してまいります。
次に、産業の振興に関する施策であります「賑わいと活気に満ちた流山」について申し上げます。
「市のイメージ向上と企業・住民誘致の推進事業」では、市の知名度及びイメージアップを図るため、森のマルシェや屋台フェアをはじめ、昨年好評を博したファモリエなどブランド戦略にそって各種イベントを実施してまいります。また、情報発信として、広告やパブリシティ、WEB、ソーシャル・ネットワーキング・サービスなど、あらやるメディアを有効に活用して、市の知名度向上を図ってまいります。
一方「流山本町・利根運河ツーリズム推進事業」では、歴史的建造物を活用して、店舗等を開店しようとする者に対し、改修する費用や賃借料の一部を助成することにより、市内外から誘客を図り地域の活性化を図ることを目指します。
また、本市産業の一翼を担う農業の振興にあたっては、安心安全な流山産の米や野菜を提供するため、「このまちごはんプロジェクト」をはじめとする地産地消を進め、消費拡大と農家の安定した所得の向上を図ってまいります。
次に、行政の充実に関する施策であります「公・民パートナーシップによる構想実現と効率的、効果的行財政運営」について申し上げます。
「見やすく分かりやすいホームページ運営事業」では、市のホームページを平成24年10月に全面的にリニューアルを行い、市民はもとより、市外の方や企業の方に市の方針や施策、生活に必要な情報、流山市の魅力などを、わかりやすく、タイムリーに発信してまいります。
また、「市役所等デザインビルド型小規模バルクESCO事業」では、市庁舎、中央図書館及び博物館など、全7施設を一括して、ESCO事業を導入し、省エネルギーに関する包括的なサービスを受けることにより、光熱水費などの削減を図ってまいります。
さらに、「男女共同参画社会づくり事業」では、男女共同参画社会の形成に向け、各種啓発事業を展開するほか、第2次男女共同参画プランの推進を図ってまいります。
8 むすび
以上、具体的な施策の展開として主な主要事業を説明させて頂きました。
ここで、ご説明した以外にも多数の事業がありますが、来年度に実施を予定しているすべての事業が今後の流山市にとって欠くことのできない事業であり、市民生活に密着した重要な事業と考えております。
厳しい社会経済環境にあるものの、放射能除染実施計画の推進や焼却灰の処理などの放射能対策事業を最優先に市民の皆さまの不安を少しでも解消する取組みを進めるほか、16万7千流山市民の皆様と力をあわせ、一つひとつ問題や課題の解決に向けて取組んでいく所存です。
議員各位をはじめ、市民の皆様方の御理解とご協力をお願い申しあげ、施政方針とさせて頂きます。
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