流山市立博物館で東日本最古の「墨書土器」が展示され、来館者から好評を博している。
墨書土器とは、土器の内面または外面などに、墨で文字や絵などが書かれた土器のことで、一般的には飛鳥時代から見られ、奈良時代から平安時代にかけて全国的な広がりをみる。
今回展示している墨書土器は、財団法人千葉県文化財センターが発掘調査を実施した流山市西初石の「市野谷宮尻遺跡」で出土したもの。これまで東日本で出土された墨書土器では、七世紀後半のものが最も古いとされていたが、この土器は、それより400年も古い、「古墳時代前期(3世紀末)」のものと見られている。
この墨書土器は、「土師器無頸壺(はじきむけいつぼ)」と呼ばれ、高さ約9.0センチ、口径約7.9センチの壺。竪穴式住居跡内で見つかり、口縁部破片の表面に筆で縦約2センチ、横約2.5センチの「久」の文字が書かれており、起筆と終筆をはっきり確認することができる。口縁部や器の表面に磨耗がないことから、日常的に使用されていなかったものと推定される。
財団法人千葉県文化財センターでは、「今回の文字の発見は、文字に熟練し筆を所有していた人物が存在していたことが大きな意義と思われる。土器に文字を書くだけの目的で筆を所有していたとは考えられず、他の目的で筆を所有していたのであろう。律令時代のように文書による伝達が行われていない時代であり、おそらく外交や交易に携わった人物が文字の書き手となったものと思われる」と話してる。
夏休みを利用して、子どもと一緒に墨書土器を見に来た市民は、「この墨書土器が東日本で一番古いなんて、何だか信じられない不思議な気分。市内でも貴重な土器が発掘されるんですね」と感想を聞かせてくれた。
この東日本最古の「墨書土器」は今月29日まで、流山市博物館で展示されている。
▽展示期間=8月29日(日)まで▽開館時間=9時30分〜17時(月曜を除く)▽場所=流山市立博物館▽入場料=無料
問 生涯学習課電話番号7150―6106
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