平成17年1月20日に鰭ケ崎の雷(いかづち)神社で、市指定無形民俗文化財に指定されている「鰭ケ崎おびしゃ行事」が行われました。毎年、市内外から多くの人が見物に訪れますが、この日も約100人が集まりました。
「おびしゃ」は、関東地方の新年行事で、千葉県の利根川沿いの東葛飾・印旛・香取郡、および九十九里沿岸の山武郡・長生郡地方で多く行われています。もとは、「御歩射(おぶしゃ)が訛ったもので、馬に乗って行われる「流鏑馬」に対し、立って、あるいは座って弓を射り、その命中度で吉凶や豊作凶作などを占う農村の神事です。今では弓を射ることは少なくなり、単に豊作や安全を祈ったり、地域の寄合になっているところが多いようです。
鰭ケ崎おびしゃ行事は、恵比寿や大黒天など、七福神の面を付けた「鰭ケ崎おびしゃ行事保存会」の年番が、赤鬼と青鬼の顔が描かれた的を篠竹で使った手作りの弓矢で射抜き、五穀豊穣や家内安全を祈願する伝統的な行事。
米や酒のほか、野菜で作った鶴と亀などが供えられた拝殿で神事が行われた後、七福神に扮した年番が拝殿の階段から鳥居の方向に立てた二つの的をめがけて矢を放つ「歩射(びしゃ)」が始まりました。
慎重に狙いを定めて放ちますが、手作りの矢のうえに的は直径30センチくらいしかなく、なかなか当たりません。連続して10人くらい的をはずしたところで、周囲からは「しっかり」、「良くねらって」などの声も掛かりました。やがて、矢が見事に的を射抜くと、境内を埋め尽くした観客から大きな歓声と拍手が送られました。訪れた人からは、「見事に鬼も退治されたので、今年は災害などない良い年になればいいですね」との声もありました。
その後、社務所では「直会(なおらい)」という宴会が行われ、赤城保存会による獅子舞や田子作踊りなどが賑やかに演じられました。
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