平成17年6月21日(火曜日)、車いすでロードレースに出場した山本百合さんが市長を訪問しました。山本さんは、6月12日(日曜日)に日比谷公園から国立競技場までの10キロを走る東京シティロードレースに出場しました。一般のほかに、車いす、視覚障害者、移植者などの部があるロードレースです。このレースに陸上競技用ではなく、日常生活用の車いすで出場した山本さん。山本さんは、市内にお住まいで、2年前、転落事故に遭い、背骨を2箇所骨折する大けがを負いました。その時、脊髄のそばにある神経の束を切断してしまい、車いすでの生活を余儀なくされ、入退院を繰り返し、リハビリを続け、車いすでの生活はまだ半年だそうです。
いきなり、ハンディキャップを背負うことになった山本さんは、「何をするにも、人の手助けを借りないと何もできない歯がゆさというか、苛立ちというものを感じるときが辛いです」。そんな辛い日々も、ご主人の優治さんと、コーギーの愛犬エイミーが山本さんの心の支えとなり、車いすでの生活を受け入れることができました。しかし、山本さんは日々生活を行う上で「人に頼りっきりになっている生活では自分のためにもならない」と考えるようになり、「たまたまインターネットで障害者と健常者が参加できるロードレースがあることを知って、これに出たいと思いました。そして何も考えずにエントリーしました」というのが参加のきっかけだそうです。
東京シティロードレースに出場することを決めた山本さんは、レースに向けてのトレーニングを始めました。休日に優治さんの運転する車で江戸川まで行き、江戸川堤にあるサイクリングロードを使いトレーニングを重ねました。本番のコースでは、アップダウンの激しい場所もあるため、坂道を登る練習を取り入れながら3キロから4キロの練習走行を続けました。そして、車いすを操作するのに最も大切な腕の筋肉を鍛えるため、自宅でダンベルを使ってのトレーニングも行っています。そんな山本さんが、ある決意をもって今回ロードレースに参加しました。「スポーツ団体や障害者団体に所属していないので、一流山市民として走ってみようかなと思いました」。
ロードレース前には「目標は完走です。時間制限があって1時間40分までにゴールしないと強制的にバスに乗せられて回収されてしまうので、ぜひ完走したいと思っています」と語っていらした山本さんですが、結果は、完走どころか猛暑で倒れる人が多い中で、なんと3位という上位入賞で、表彰台にあがりました。大会当日は、季節はずれの猛暑で、レースが始まった午前9時半の時点ですでに気温は28・5度まで上がり、6,283人のランナーは過酷な条件下にリタイヤした出場者も多かったと報道されました。山本さんも8キロあたりから腕がしびれて、とても辛かったそうです。ゴールしたときの感想を伺うと、瞬間を思い浮かべちょっと涙ぐんだ様子で「感動の一言です」と答えてくれました。これをきっかけに、日頃お世話になっている地域に貢献していきたいと夢を語ってくださいました。
日本は、駅にエスカレータがあり、段差も減って、施設面でのバリアフリーは進みつつあります。しかし、階段で車いすを見かけたときに、周囲に声をかけて手を貸してくれる人は残念なことですがあまり多くありません。社会の意識としてのバリアフリーを進めなければなりません。この日は、井崎市長から「ぜひ、学校などでも子どもたちに身近な体験談を聞かせてあげてください。また、まちづくりにもご意見を」と勧められた山本さん。翌22日には、八木南小学校の総合的学習で、6年生を対象に「共に生きる」というテーマでスクールボランティア登録講師として授業を受け持つなど、多方面でご活躍されていらっしゃいます。
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