「団塊の世代の来し方行く末」と題した講演会が平成18年2月25日(土曜日)、我孫子市の生涯学習センターアビスタで行われ、流山市にお住まいのノンフィクション作家・佐野眞一さんが約2時間にわたって講演されました。この講演会は、「新しいステージと新しい出会いのために」という副題があり、団塊の世代の定年退職といういわゆる「2007年問題」をテーマにしたものです。会場には100人を超える中高年者が集まり、佐野さんの講演に聴き入っていました。
佐野さんは、団塊の世代という言葉に違和感を覚えるとしたうえで、日本の貧しさを体験した最後の世代で、日本の豊かさを体験してきた最初の世代ではないかと話され、「金と時間がある世代」などという、もっともらしいコピーに騙され続けた世代でもあるのではないかと分析しました。昭和30年代を再現した映画「3丁目の夕日」などに触れ、日本人が、「泣きたい症候群」のようになっているのは、時代が「閉じている」方向に向かっているからではないかと問い掛けました。
佐野さんの著書「巨怪伝」や「カリスマ」、「阿片王」などに触れ、作品の底を流れているのは、団塊の世代と言われる皆さんが体験されてきた高度経済成長の記録であることを紹介。民俗学者・宮本常一の名著「忘れられた日本人」を中学1年生のときに読んで感動し、37年後に宮本常一を描いた「旅する巨人」を書いたことを例に、本は遅効性のメディアだが、読んだ人に与える影響は大きいと語りました。
「一人の老人が亡くなると大きな図書館がひとつなくなる」というアメリカの言い伝えを引用し、「まちは大きな図書館」であり、中高年者が持っている知識や体験をどう活かすかが、いま、図書館や公民館に課せられた大きな課題であると呼びかけました。佐野さんは、経済や司法、メディアなどさまざまな分野で徹底した取材を行う作家としてファンが多く、この日も流山市から多くの愛読者が駆けつけていました。現在、佐野さんが執筆中の教育問題を取り上げた作品は3月10日発売の「文藝春秋」に発表される予定です。
ぐるっと流山に関するお問い合わせは、担当課のページからお問い合わせください。
担当課のページ