百句百景
更新日 平成19年10月18日


俳人の元市長が「百句百景―ふるさとの俳句に見る風土と人」を出版 秋元大吉郎第3代流山市長が地元出版社崙書房から

[画像]秋元大吉郎さん(10.7KB)

 流山2丁目の崙(ろん)書房から「百句百景―ふるさとの俳句に見る風土と人」を出版された秋元大吉郎さん(80)。俳人の元流山市長が、ふるさとの俳句誌に10年にわたり書き継いだ自由闊達な作品鑑賞文集です。五七五を通して垣間見る土地と人々…。ベテラン俳人が共感した市井の俳句。崙(ろん)書房の人気シリーズ「ふるさと文庫」の189冊目として刊行されました。秋元さんは、昭和58年度から2期8年流山市長でしたが、当時、日本ペンクラブ所属の市長として文壇でも有名でした。秋元さんは、「俳句はわずか17文字の短詩文学だが、読み方によっては小説1冊分の世界を楽しむこともできるということを知ってほしい。いろいろな読み方ができる句が名句と言われている。よい読み手あっての俳句は、人との付き合いにも似ている」と語ってくださいました。


[画像]このほど出版された「百句百景」(13.2KB)

 その中の1句、平成10年の「軸」1月号にある「余生など無くて黄金の稲を刈る」(吉沢秀ひろ)については、「平明の句であり、そのものずばりである。しかし何回か口遊んでみると奥行の深さをひしひしと感ずる。吉沢さんは農耕人ではないが、今日の百姓の本音の姿と心を詠み込まれている。(中略)収穫する感動と歓喜は余生など無くてよい陶酔境である。ですからこの句からは愚痴も泣言も聞こえない。人間が人間の営みを全うする責任感と愛の昇華である。美しく老いて健やかであるかぎり生涯現役である。日本の農業はこうした人々に依って支えられている。私もそんな一人でありたい」と鑑賞文を添えています。また、「老人が木登りをする桃畑」(小柳俊次)について、小枝の剪定をしていたのか、桃の実に袋かけをしていたのか、そんな風景も、古くから桃の花を散らした沐浴で子どもに元気に育てと願ったり、桃の葉を入れた湯に入って湿疹などを防いだり、桃の枝で杖をつくって高齢者に贈れば長寿といった中国や日本に伝わる桃信仰まで思いをはせて句を読めば、木登りをする老人が健康という素朴な願いをかけた行為にも見えてくると、わかりやすい例をあげて解説してくださいました。


[画像]崙書房(14.0KB)

 出版した崙書房(流山市流山2-296-5 電話04-7158-0035)は、昭和45年流山に創業した地方出版の雄。大正5年創業の総武流山電鉄流山駅前で、地域の文化を出版し続けています。一方、平成17年8月に開業したTX流山おおたかの森駅前に今春、おおたかの森S・Cに沿線最大の規模でオープンした紀伊國屋おおたかの森店では、崙書房のふるさと文庫をはじめ地域の本のコーナーを設置して地元の読書家に人気です。紀伊國屋(電話04-7156-6111)は、児童書売場で地元の NPO法人ながれやま栞(しおり)と協働で毎月第1・3火曜日に読み聞かせを行うなど地域に密着した事業展開を続けており、郷土の本コーナーもその一環です。町民の出資によって作られ1世紀近い歴史を持つ流鉄沿線の地方出版と、最新鉄道TX沿線の日本有数の老舗書店のコラボレーションは、新旧住民のコミュニティづくりが街づくり最大の課題となって40年近い首都近郊のベッドタウン流山を象徴しているようです。流山は俳人・小林一茶寄寓の地として知られ、一茶の支援者であった醸造家で俳人でもあった秋元双樹の家は、「一茶双樹記念館」として市民に開放されています。同著は、新書判で148ページ、1260円(本体1200円+税)。



お問い合わせ先

ぐるっと流山に関するお問い合わせは、担当課のページからお問い合わせください。
担当課のページ



[0] 流山市|都心から一番近い森のまち [1] 戻る

流山市役所