3月15日土曜日リサイクルプラザで新川耕地有効活用講演会が行われ、約70人の関係者が、市北部に広がる広大な農地の将来像などを学びました。市では、平成14年3月に新川耕地有効活用計画を策定し、整備・開発・保全の見地からさまざまな検討を重ね、今年度、流山市農業振興基本指針が作成されたことなどを受けその推進のため地元農業従事者の方々、JAやNPO法人の皆さんなど関係者を対象に今回の講演会を開催したものです。
最初に、千葉大学大学院園芸学科・園芸学部の安藤敏夫教授が、「新川耕地の魅力」と題して講演。「よく食の安全安心と言われるが、安全は生産者の責任で客観的なもの、安心は消費者の感覚で主観的なもの。簡単に安心安全というのはいかがなものか」と最近の食の安全に関する報道などに警鐘を鳴らしました。そして「かつて農産物は生活必需品だから宣伝しなくてよいと言われていたが、いまは嗜好品になっている、ブランド化なども視野に入れPRする時代」と説き、「食住接近」や「医食農同源」などを力説。「健康志向の外食産業やこだわりのシェフなどと仲良くしよう」、「汎用品種ではなく気味強化野菜や薬効サラダ、美味薬草など「そこに行かなければ買えない食材」を季節限定でつくろう」など示唆に富んだ辛口のお話をユーモアを交えて聞かせてくださいました。
次に千葉大環境健康都市園芸フィールド科学教育研究センターの池上文雄教授が、「医と食と健康」というテーマで講演。東洋医学には「医食同源」、「薬食同源」という考え方があるが、病気を治療することも、毎日の食生活をきちんとすることも、体調を整えるという点で根っこは同じと説き、野菜の成分を科学的に分析すると、薬と同じ効果を持っている。サプリメントがブームだが、野菜には元々「五味五性」といって、味によって様々な効能があり、「酸」は下痢止め、「苦」は炎症を抑え、「甘」は疲れや痛みを和らげ、「辛」は体を温め、「鹹(かん)(塩辛い)」は便秘に効くという具体的に解説。春は酸っぱいもの、夏は苦いものなどと季節によって体に必要な栄養が変わる。一年中、色々な野菜が食べられる時代になった一方で、「野菜が元々持っていた栄養が失われつつあるのは、旬になる前に野菜を収穫し、出荷することが原因の一つではないかと問題提起され、季節に応じた野菜を生産し、旬のものを食べることが健康につながるのではないかと会場に語り掛けました。
最後にJA総合研究所地域研究部理事の山本雅之主席研究員が「どう活用しますか?あなたの農地」という演題で講演。中国野菜などの報道もあって、各地の直売所で客が増え、若い消費者が増えるなど顧客層も変化してきている最近の動向に触れ、新川耕地は、周辺に人口が多いのだから直売所には向いていると分析。「都市部では出荷量が不足して、農産物を仕入れているところもある」。そこで、相続税や収入などの具体的な数値を示しながら、練馬区の事例なども交え「生産者の高齢化などを考えると、自分で生産するのではなく、カルチャー型の体験農園をつくり、消費者の中から「学びながら農家のセミプロになりたい」という団塊の世代などを巻き込んで出荷者を増やしてはどうか」と呼び掛けました。会場では、農家の方々から直売所や体験農園などについて質問も相次ぎ、熱心な議論が交わされました。
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