10月12日日曜日から15日水曜日の3泊4日、文化会館で通学合宿「ながれやま子ども宿“めだかの学校”」が行われました。20人の小学生が公民館で共同生活を送りながら通学する体験学習です。食材を買って、食事を作って食べ、入浴して、布団に寝て…普段何気なくしている生活ですが、実は、保護者にしてもらう日常に流され、小学生自身はほとんど無意識な受け身の毎日。そこで、「生きる力」を育む教育の必要性が叫ばれている中、少しでも子どもたちに自信を持ってもらい、たくましくなってほしいと企画され5年目を迎えた市民と行政との協働事業です。
参加したのは、公募で集った小学校の4年生から6年生までの20人。この学校を運営したのは、さまざまな地域活動をしている地域の方々をはじめ駒木の江戸川大学や我孫子市の川村学園女子大学で教職課程を受けている学生ボランティアの皆さん。学生と地域ボランティア、そして公民館職員ら52人が20人の小学生の合宿を支えています。内容は中央公民館(文化会館3階)に泊り、自分たちで食料を買い、作るなど、家にいたら親に頼っている部分を子どもたちが自分たちで考え生活する体験学習です。
買い物は文化会館の近くのスーパー。エコバッグを持って4日分のお金を計算しての買い物です。野菜や卵を買う前に、アイスやお菓子を買おうとする子どももいて、店内は大騒ぎ。ボランティアの学生は「騒がしくてすみません」と他の客に謝りながらの買い物です。初めての夕飯は、4つのグループで競うように凝った料理に挑戦しました。ギョーザをひとり10個ずつ食べるグループでは、ひき肉にニラを入れて、皮をひとつひとつ巻いて焼きました。手づくりハンバーグのグループ、焼きそばのグループなど、いかにも子どもたちが好みそうな献立です。
夜は近所の家で「もらい湯」体験。昨年お子さんが、めだかの学校に参加され、ことしは、ボランティアとしてお風呂を提供されたという方も。「もらい湯ボランティア」の地域の方々の家を3〜4人のグループに分かれて訪問しました。協力してくださるお宅に公民館で事前にお願いし、グループごとに決められたお宅に地図を見ながら訪問して、入浴させてもらいます。お風呂あがりに麦茶をごちそうになったり、よそのお宅にあがるのに靴をそろえたり、現代っ子にとって普段はあまり体験できないことかもしれません。映画「三丁目の夕日」ではありませんが、昭和30年代のご近所付き合いならごく普通の光景ですが、子どもたちはもちろん、ボランティアで付き添った学生も初めての体験でした。
夜はなかなか眠れず、定番の枕ぶつけなどが自然発生。そんな雰囲気の中で、公民館の生涯学習専門員による絵本の読み聞かせが始まりました。生涯学習専門員が「ざぼんじいさんのかきのき」や「ウエズレーの国」を読み出すと、それまで騒いでいた小学生がおとなしく見入るなど微笑ましい光景も見られました。子どもたちが寝静まった頃、大学生スタッフを中心に反省会。「調理に時間がかかって、スケジュール通りにはいかなかった」、「そもそもスケジュールに無理があった。家庭のように“早く”“早く”と言わないようにしたい」など活発な意見が交わされました。
朝は、6時に起床、文化会館の駐車場でレクリエーション。生涯学習専門員の指導で音楽に合わせて楽しみながら身体を動かしました。新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んで寝ぼけ眼もパッチリ覚めたようです。朝食は、フレンチトーストのグループや卵焼きのグループ、納豆やネギたっぷりのグループ、ロールパンのグループなどさまざま。流山小学校は通学区ではないため、送迎ボランティアとして土保勝彦さん(61)と、学生ボランティア伊藤守さん(20)の2人が引率しての登下校となりました。
支えてくださったボランティアは、環境フォーラム・流山や流山すず虫の会、保育ボランティアひだまりなど、他の地域ボランティア活動をしている市民の皆さん。中でも中心的な活躍をしてくれているのは、子どもたちの「お兄さん」、「お姉さん」的な役割を果たしてくれている学生ボランティアの皆さん。代表の江戸川大学マスコミュニケーション学部情報文化学科3年生の吉田光里さん(20)は、「私が大声をあげて、“集まって”、“並んで”と叫んでいるうちに声が枯れてしまい、それに気づいた子どもたちは何も言わなくても集まってくれたり、やさしい子どもたちに学ばせていただきました」と感想を聞かせてくださいました。
最後の夜は、子どもたちの企画による「お楽しみ会」。お風呂をご提供くださったボランティアさんたちをお招きしてのイベントです。子どもたちが歌のサビのメロディを口ずさみ曲名を当てる「サビトロクイズ」やシリトリを絵で次の人につなぐ「シリトリレー」などでおもてなし。地域の方が、掘ったばかりの土がついたサトイモを差し入れてくださいました。ボランティアとして参加された「環境フォーラム・流山」代表の土井佳子さんが、「サトイモは親イモの上に子イモ、その上に孫イモをつけます。子どもは親よりも未来に向かって育つのと同じ」と解説し、煮たものと蒸かしたものをいただきました。
江戸川大学社会学部ライフデザイン学科2年生の相澤真一さんは、めだかの学校の最中に20歳の誕生日を迎えました。閉校式では、井崎市長が自転車で駆けつけ、「この学校で20歳の誕生日を迎えられ、おめでとうございます」とあいさつ。会場の大きな拍手に、相澤さんは「市長さんをはじめ子どもたちにお祝いされ光栄です」と照れていました。また、市教委からは石井生涯学習部長が出席し、地域ボランティアの皆さんに謝意を伝えました。一人ひとりの子どもが感想を述べる場面では泣いてしまい言葉が出ない子や、式典後には別れがつらく泣き出して学生に抱きつく子、もらい泣きする学生など感動的なものになりました。ネーミングの「めだかの学校」とは、童謡の歌詞から“だれが生徒か先生か”と、“教えられえる側”と“教える側”が常に入れ替われる“相互学習”であり社会教育の原点を示すもの。ボランティアの大人も小学生の皆さんから何かを学ぶでしょうし、子どもたちも親以外の大人と接して何かを学ぶのではないでしょうか。
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