こころの健康フォーラム2009in流山
更新日 平成21年6月1日


こころの健康フォーラム2009in流山 文化会館がNPOと協働で初の開催

[画像]発達障害の当事者研究を発表(9.6KB)

 5月30日土曜日、文化会館ホールで、「こころの健康フォーラム2009in流山〜みんなで守ろうこころの健康〜生きる力・支える力・仲間として」が開催され、500人を超える皆さんがシンポジウムなどを通して心の健康について考えました。「健康都市宣言」を受け、心の健康をテーマに朝10時から夕方16時まで行われたフォーラムで、公民館とNPO法人こころの健康を創造する会creationHITとの協働で初めて企画されたものです。


[画像]綾屋さんと熊谷医師(12.9KB)

 第1部では、「発達障害当事者研究〜ゆっくりていねいにつながりたい」と題して、熊谷晋一郎医師と、アスペルガー症候群の当事者として発達障害当事者研究を執筆した綾屋紗月さんが発表。綾屋さんは、幼少期より外界とつながっている感覚が乏しく、中高時代は虚弱で伏せがちな日々を過ごし、大学時代に音声で話すことに高いハードルを感じる自分の言葉として手話を習得。この日も手話で話す綾屋さんの言葉を熊谷さんが訳して発表するというスタイルで進められました。


[画像]会場の外でも(18.2KB)

 熊谷さんは、新生児仮死の後遺症で脳性マヒに、以後、車いす生活となりました。東京大学医学部卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務を経て、現在、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学。他の障害をもつ仲間と当事者研究を進めています。NHK教育TV・『きらっといきる』「 走る!車いすの小児科ドクター」などで紹介されたことからファンも多く、あいにくの天候でしたが朝から多くの方々が来場されました。


[画像]井崎市長もバーチャル体験(15.5KB)

 会場の外では、NPO法人自立サポートネットの「いろいろやハーモニー」や初石公民館で軽食喫茶キッチンよつばを運営している「社会福祉法人よつば」、森の図書館でパンを販売している「森のパン屋さんCIELO」、文科省委託事業青少年元気サポート事業を展開している「ボーイスカウト流山第3団」など多くのコーナーで活動が紹介され理解を広めました。多動性障害や統合失調症がバーチャル体験できるコーナーも設けられ、井崎市長も2つの模擬体験をして、「血圧が高い、腰が痛いと身体の病を気軽に話せるように、塞ぎがち、不安定など、こころの病も明るく話せる社会を築くことが大切」と呼び掛けていました。


[画像]昼休みにはミニコンサート(14.5KB)

 昼休みには、エターナルエムというピアノ、フルート、ヴォーカルのユニットが癒し系のオリジナル曲でミニコンサートを開催し、大きな拍手が贈られました。第2部は、NPO法人こころの健康を創造する会creationHITの肥田裕久理事長による「あなたのこころお元気ですか〜統合失調症ってどんな病気?うつは治るの?」と題した基調講演で始まりました。肥田さんは、南流山で「ひだクリニック」を開院。社会福祉法人よつば理事、東大保健センター講師、千葉県立野田看護学校講師、ボーイスカウト千葉県連盟医師の会、流山市精神科嘱託医、教育委員会嘱託医を務めながら精神科リハビリテーション、るえか式心理教育、ピアの育成などを中心に精神保健の推進活動に努めていらっしゃいます。


[画像]午後かにはシンポジウムも(12.4KB)

 基調講演に続いて、「こころの障害 地域で共に生きることへの挑戦」というシンポジウムが行われました。べてるの家当事者研究室長の向谷地宣明さんを座長に、NPO法人千葉県精神障害者家族会連合会の寺尾直宏理事長、ペイ・フォワードの寺田多美江代表、市障害者支援課の白井亨精神保健福祉士、そしてNPO法人こころの健康を創造する会creation HITの当事者3人をパネリストに、当事者の体験や家族の思い、市内の実情などが話し合われました。座長の向谷地宣明さんは、北海道・浦河でソーシャルワーカーをしていらっしゃるご家族の向谷地生良さんに触れ「本を著し、教壇に立つ父でも、家族(兄弟)には無力を感じるときがあります」と実体験を元に話を進めました。


[画像]実体験を元に質問に答え(10.4KB)

 客席にはあらかじめ質問票が配布され、その質問に答える形でシンポジウムが進められる一幕もありましたが、「家族に言われて傷ついた言葉、うれしかった言葉は」という質問に統合失調症という女性は、自分が苦しんでいるときに世間体を気にして「うちには何の問題もない」と言われたときが辛かったこと、そして「がんばれ」は病んでいる人に言ってはいけない言葉と一般的にはされているが、本人が幸せに向かってがんばらないと次のステージに行けないことも事実で、応援されていると感じたときがうれしかったと体験談を聞かせてくださいました。また、薬について、入院しているときには「飲まされている薬」だったが、退院して薬の内容を知ったうえで、自らの意思で「飲む薬」となったことなども発表され、投薬管理についても考える機会となりました。


[画像]肥田理事長の講演(14.9KB)

 フォーラム全体をリードされた肥田理事長は、「このような時代に私たちは、精神科的な問題を対岸の火事、他人事のようにしていくわけにはいきません。知識や自分なりの対応方法を学んでいく必要があります。しかし、存外そのような機会は少ないのではないでしょうか。今回のフォーラムは、専門家の視点のみではなく、当事者(経験者)の視点を取り入れて、多面的にアプローチし、身近な問題として考えるきっかけにしていきたい」と語っていらっしゃいました。なお、この日の模様はJCNコアラ葛飾の「デイリーニュース」で放送される予定です。



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