現在、博物館で好評開催中の企画展「発見!!市民が選んだ博物館資料〜流山の産業・生活・文化〜」。博物館と博物館友の会(阿部辰数会長)の協働事業として開催されているもので、展示されているのは友の会会員と博物館職員が郷土資料約2万点の中から選んだ26点。いずれも普段は収蔵庫にしまわれていて、展示されていないものばかりです。連日、多くの方が見学されていますが、週末には、近隣の松戸市や野田市、柏市はもとより、市川市や船橋市、埼玉県草加市、茨城県土浦市、東京・大田区などからいらっしゃった方もいるそうです。
6月21日日曜日には、展示されている資料を選んだ友の会会員と博物館職員のなかから13人が、選んだ資料についての発表を行い、同会会員や郷土史ファンなど約50人が集まりました。トップバッターを務めた伊藤隆美さんが選んだ資料は「御鹿狩の古文書」。これは江戸時代に将軍が鹿狩りを行う際、幕府から出された申し渡し書と村役の請書の控えです。この時代、将軍の鹿狩りは一大事で、たった1日、それも5時間程度の行事のために、1年がかりで街道や橋の普請、船橋の設置、お狩場の設営などが行われたそうです。この古文書は、当日の火気厳禁や外出制限を領民に示達し、これに村役50人が同意署名したもので、伊藤さんは、この資料から当時の幕府の領民に対する統制の厳重さに驚かされたとのことでした。
続いて、鵜沢滋子さんは「小金丸の板碑」について調べた結果を発表。小金丸とは、「思井の犬塚」の話にでてくる小金城主高城下野守の愛犬のことで、謝って飼い主の下野守に首をはねられてしまい、その犬塚が今でも思井の伊原家に残っています。その犬塚の下から出てきたのが小金丸の板碑で、「明応7年(1498)4月14日」という年号と「小金丸」の文字が彫られています。鵜沢さんは、この年号と話に出てくる城主はだれなのかに着目し、話を進められました。言い伝えによる昔話と室町時代の板碑の係わりについての話は、興味深く聞くことができました。
ほかの皆さんも、選んだ資料について深く掘り下げて研究され、制限時間の一人8分では物足りないほどの内容でした。博物館の北澤学芸員は、「鰭ケ崎三本松古墳古塚の碑」について発表。碑に記された文から、天明の飢饉の時に当時の人々が古墳を守ったこと。昭和30年代の開発の時期にも、周りの土は削られたが古墳は残されたことを当時の写真を見せながら説明。新保國弘さんは、「東深井村の村絵図」を紹介し、村絵図が如何に貴重で当時の景観や生活を復元するのに大切な資料かを力説。博物館の川根館長は「寛永通寶」を年代や地域別に分類する面白さを、中村哲夫さんは、「染付便器」を選び、日本各地の面白い便器を紹介しました。
相原正義さんは、軟弱な湿田で使われた「田下駄」「大足」の説明から当時の湿田の様子や農作業の大変さを紹介。さらに、田嶋昌治さんは「疱瘡よけの御札」について、間藤邦彦さんは大正時代の「蚊取り機」について、石垣幸子さんは「市野谷で発掘された墨書土器」について、青木更吉さんは第2次大戦中にべい独楽(こま)の代用品として作られた「瀬戸べい」について、旅行作家の山本鉱太郎さんは俳人・小林一茶と秋元双樹の関係を知る上で最も貴重な文献「俳諧草稿」について、宮坂叔子さんは今回の展示で最も大きくて、その煌びやかさが来場者の目を引く「源氏物語色紙貼交屏風」を選ばれ、源氏物語の魅力についても熱弁されました。
全てを細かく紹介できませんでしたが、この企画展は6月28日(日)まで開催されていますので、ぜひ足を運んでいただきご覧ください。資料の一つ一つに分かりやすい解説が付けられ、土・日曜には友の会の会員がガイド役を務めてくださるそうです。企画展の運営を担当されている友の会の伊藤隆美さんは、「企画展はテーマを決めて行われるのが多いが、今回は選ぶ人が「市民目線で興味を持ったもの」としたので、卑弥呼の時代から昭和のものまで、貴重な文化財から日用品まで、さまざまなものが展示されています。そこがこの企画展の面白さでもあります」と語っていました。
企画展についての問い合わせは、博物館(04-7159-3434)まで。
博物館友の会は現在、会員が約260人で、年間を通して歴史散歩や文学散歩、研究会、討論会、旅行会を行なうほか、文章・朗読・川柳講座の開講、会報「におどり」の発行、研究誌「東葛流山研究」の年1回の発刊などを主な活動としています。今後の行事予定では、7月19日に北部公民館で「わいわい討論会」、8月15日に北部公民館で「公開討論 みんなで戦争と平和を語る集い」、10月18日には「関東の小京都を歩く」と題して足利市まで小旅行を企画されているそうです。同会では随時、会員を募集中とのこと。入会に関する問い合わせは、同会・本田さん(04-7152-2949)まで。
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