平成5年から青少年の弦楽奏者の育成と演奏会を行っているSFS合奏団(植田しづか代表)が3月25日、ヴァイオリンの名器ストラディバリウスを生んだことで知られるイタリア北部のクレモナ市で、弦楽オーケストラとしての海外公演を開きます。その壮行コンサートが1月29日(日曜日)、流山市文化会館ホールで行われ、多くの音楽ファンが詰め掛けました。
弦楽器製造の本場で行われる演奏会には、クレモナ市の商工会議所が、中世の面影が色濃い音楽ホールの提供などで全面協力する予定。小さなヴァイオリニストたちは、クレモナ公演に向けて日夜、練習に励んでいます。日本とイタリアとの青少年文化交流が目的の今回の公演では、「まつり」をテーマに日本文化の紹介も行われる計画です。
この日本文化の紹介では、和太鼓を交え、八木節やソーラン節などを演奏楽曲に加え、西洋と東洋の調べが響き合う、文化交流にふさわしい構成となっています。この日の壮行コンサートでも、和太鼓チーム打ん団(だんだん)の鈴木宏昌さんが叩く太鼓にヴァイオリンの演奏が重なって独特の厚みを醸し出していました。また、文化会館ホール前のロビーでは、受付時には歓迎の演奏が、終演後には感謝の演奏が行われました。
SFS合奏団は児童・学生のヴァイオリン奏者約25人と音楽講師5人で編成されています。平成20年には、中国の演奏家らと日中両国でコンサートを開催するなど海外演奏の経験もあります。昨年、社団法人となり、地元と海外での演奏会を隔年で行う計画でしたが、昨年3月の東日本大震災で、SFS20周年と法人化記念の地元でのコンサートは中止。10か月以上も延期され、クレモナ壮行コンサートとして、開催することができました。
この日のコンサートでは、イタリアのトスカーナ地方の昔話に材をとった「3つのオレンジの魔法」を弦楽合奏と朗読による音楽物語として上演しました。語りは伊藤未希さん、金子彩奈さん、園田力意さんの日大芸術学部の学生トリオ。朗読と言う地味な表現に、「哀しみのソレアード」や「アリア」などが加わるとオペラを楽しんでいるような迫力で伝わってきます。また、同じく日大芸術学部在学中で司会を務めた真保幸星さんが、ドイツの詩人・ゲーテがまだ見ぬイタリアへの憧れの想いを込めた「君よ知るや南の国」の詩を森鴎外の訳で朗読しました。
壮行コンサートが終わって、植田代表は、「イタリアでは、地元の合奏団との共演も予定されているので、クレモナの子どもたちも、きっと練習に励んで、私たちを迎えてくださると思います。みんなも後2か月練習に励みましょう」と子どもたちに呼び掛けました。また、壮行コンサート当日にだれも風邪をひいたり体調を崩していないことに触れ「健康管理をしてくださるご家族のお力添えに感謝します」と保護者に謝意を伝えました。
今回の壮行コンサートには、クレモナコンサートを成功させようと壮行実行委員会が組織され、当日の駐車場から場内案内、受付、舞台監督、記録、広報、そして協賛広告をくださるスポンサー探しまで多くのボランティアの皆さんが関わって成功したそうです。指揮をとられた野崎知之さんは、「子どもたちと一緒に練習したのは1か月でしたが、非常に濃い時間を過ごせました。本番で演奏がどんどんよくなってきたのを感じた」と若きヴァイオリニストたちを称えました。
3月のコンサートは、同市の楽器製造業組合のオーディトリウム(音楽堂)が会場となります。外観は中世風ですが、内部は音響効果を最優先したという現代的ホールで、客席数約300。プログラムはイタリアのバロック音楽の巨匠ヴィヴァルディの合奏協奏曲集「調和の霊感」などで、モーツァルトの賛美歌「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は地元の合唱団との共演が予定されています。一般社団法人SFS合奏団は、賛助会員、演奏部会員を募集しているそうです。お問い合わせは、SFS合奏団(電話:04-7152-3834)へ。
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