朝顔を育て続けて20年。東京朝顔研究会に所属する東初石の木村清さんは、毎年7月末から8月上旬にかけて日比谷公園で開催される展示会に向け、自宅のベランダなどで数百もの朝顔を栽培しています。朝顔の花が咲くのは一日だけ。展示会の時期に合わせてうまく咲くように、品種ごとに種まきの時期から日々の手入れまで、日々の生長を見ながら調整をしています。
朝顔の作り方は大きく二つに分けられ、ひとつは鉢に支柱と輪を設け、それにつるを絡ませる一般になじみの深い行灯づくりと呼ばれるもの。もうひとつは、高さ15センチほどの朝顔を盆栽のようにつくる切り込みづくりと呼ばれるものです。ともに用いるのは大きな花を咲かせる遺伝子を持った大輪朝顔という種類で、蝉の形をした葉(蝉葉)を持つのも特徴です。花は無地のものだけでなく、花びらの縁に白地が入る覆輪や、縞、絞り、吹っかけ、吹っかけ絞りなど、さまざまな模様があります。
木村さんは行灯づくりも切り込みづくりも両方作りますが、今年の第61回展示会に出品した切り込みづくりの作品(品種:那須の宴)が、農林水産大臣賞と並び、最も優秀な作品に与えられる「環境大臣賞」を受賞しました。朝顔の審査基準は、花の大きさや色、咲く位置、開き方、傷の有無などいくつもありますが、木村さんの受賞作の花の大きさは16.6センチとバランスのとれた大きさで、形もきれいな円形をしています。また縞模様もまっすぐ美しく伸び、さらに、しぼりも元から先までバランスよく成り立っており、出品された約1000鉢のなかから見事、選ばれました。
大輪朝顔には毎日の水やりが欠かせません。根が張る前のまだ冷える時期には、日中外で日に当てているものを夜のうちだけ屋内に移動させるなど、とても手間暇のかかるものです。基本的には木村さんが手入れをしていますが、どうしても外に出なければならないときなどは、代わりに奥さんに面倒を見てもらっているそうです。木村さんは「最高の賞をいただけて、とてもうれしいです。自分だけで育てたわけではなく、妻に手伝ってもらって初めてできた朝顔なので、妻には感謝しています。」と目を細めました。
友人のすすめで始めた朝顔ですが、最初のうちはあまり乗り気ではなかったといいます。それが育てていくうちに、だんだんと一筋縄ではいかない朝顔の世界を知り始め、気が付いた時にはどっぷりと朝顔づくりに埋没していったそうです。木村さんは朝顔の魅力を「育てるだけならだれでも簡単に育てられますが、手間暇かければかけた分だけいい花が咲くことです」と話します。技と知恵と手間の結晶である朝顔の世界。今年咲かせた朝顔から採れた種が、今木村さんの自宅に眠っています。冬が終わり、春を迎えたころから木村さんの朝顔づくりがまた始まります。
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