市内には、ご自宅の一角をギャラリーにされたり、スタジオに改造されたりしながら、美術や音楽を通し地域で交流を深めていらっしゃる皆さんが少なくありません。かつて、都心で働き自宅に帰るだけの「ベッドタウン」と呼ばれた流山も、団塊の世代と呼ばれる皆さんが定年退職され、趣味で安らぎや交流を深める「リビングタウン」に変わりつつあると分析される専門家もいらっしゃいます。そんな自宅を開放されているお宅のひとつ、宮園2丁目の鶴谷園子さんのお宅を訪ねてみました。
50組以上のお雛様と30本を越える吊るし飾りが展示されている鶴谷さんのお宅を訪問したのは、2月23日(日曜日)。すでに3人の先客がいらしたのですが、今年は例年より飾るのが遅くなったそうで、「体力のこともあり、今年辺りで展示もそろそろ…」と近況を聞かせていただきました。確かに、これだけの雛人形などを、飾ったり、梱包したり、片付けたりするのは大変なことだと思います。
ご自宅のフェンスには雛飾りのポスターが貼られ、玄関の紅い暖簾をくぐると、右手には 故・鈴木賢一名人の結城紬の木目込み雛、そして正面には屏風絵を背に雛人形が飾られています。この屏風絵は、ご近所の玉置裕子さんの作品。玉置さんは、俳画を勉強され教室を任せられる腕前なのだそうで、紫式部・和泉式部の歌を絵にしてくださったり、幼い童子が遊ぶ様子を描いてくださったりしています。また、展示物の解説ポップは鶴谷さんご自身がパソコンでつくっています。
この日は、ご近所の東雅子さんもいらして、折り紙のお雛様や鶴を折って飾ってくださいました。1枚の紙で3羽の鶴を折るという細やかな作業を笑顔で見せてくださいました。また、吊るし雛のひとつ、紅い「さるぼぼ」飾りもご近所の松本きぬ子さんの手によるものです。制作された時代や高名な作家など高価な雛飾りが並ぶ和室やリビングのいたるところに、金銭では購入することができないご近所の皆さんの手づくりのぬくもりを感じます。
江戸後期の古今雛、明治期・大正期のお雛様、木目込みのお雛様。紙や木、布、陶器などのお雛様が並んでいます。皇室に献上され、埼玉県の無形文化財にも指定された故・鈴木賢一名人のお雛様は、鶴谷さんが35年前に作品に出会って以来、大ファンになったそうです。京橋のアンティークモール街や六本木ミッドタウン、浅草などで買い求めたものも多く、今年も10点ほど増えたそうです。リビングのメインテーブルも緋毛せんを敷いて雛祭りの雰囲気が醸し出されています。
兎の縮緬細工雛、飛騨の紙屋文二朗の張子雛、ころころとよい音色が聞こえてきそうな土鈴のお雛様、故・鈴木賢一名人の「来福童子」、鶴谷毅さんの故郷、加賀の八幡起き上がり、一刀彫お雛様などが、アンティークなステンドグラスの灯りに照らされています。その上には、猿やフクロウ、とうがらし、巾着などが吊るされた「つるし雛」が天井から飾られています。公開されている部屋には雛人形だけではなく、流山の「万華鏡ギャラリー見世蔵」で購入されたという中里保子さんの作品やアンティークな食器類、人形なども展示されています。
鶴谷さんは、アンティークなものを収集、公開する傍ら「流山市ゆうゆう大学」などで生涯学習活動にも励んでいらっしゃいます。お連れ合いの毅さんは、宮園自治会館などでジャズコンサートを企画し、地域活動にもご尽力されています。ご夫妻の共通の趣味はジャズ。特に、流山が生んだ世界的なバンジョー奏者の青木研さんを応援されていて、3月22日(土曜日)に流山市生涯学習センターで開催される青木研バンジョーコンサートを楽しみにしていらっしゃるそうです。
お雛さまコレクションの一般公開
場所:流山市宮園2-12-8(宮園1号公園近く)
電話:04-7159-3412(鶴谷さん宅)
公開日時:3月末日までの午前10時から午後4時(不在の場合がありますので、事前にご連絡を)。
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