1月31日、市内にある山田人形店代表取締役社長の山田吉徳さんが市役所市長室を訪れ、山田さんが制作する節句人形(雛人形)が千葉県伝統的工芸品に指定されたことを報告しました。
千葉県伝統的工芸品とは、昭和59年から始まった指定制度で、現在180件の指定工芸品があります。流山市内では5件目の指定となりますが、亡くなられた方もおり、保持しているのは山田さんを含め2人のみです。
千葉県伝統的工芸品に指定されるためには、制作の大部分が手工芸的であること、大正以前に確立された技術・技法・原材料であることなどが要件となります。
井崎市長は「千葉県伝統的工芸品に指定されたことはとても素晴らしいことです。ぜひ、授与された指定掲示板を店頭に飾っていただきアピールするとともに、これかも伝統を守りながら制作を続けてください」と栄誉をたたえました。
山田さんは、雛人形の胴部分の着せ付けや手の振り付けを行う着付け師で、伝統的な技法である振り付けにこだわりながら、現代のニーズに合わせた雛人形の創作を行っていることなどが評価され、今回の指定となりました。
振り付けとは、腕折り(かいなおり)とも呼ばれ、着物を着せた人形の腕を徐々に曲げ、背の高さ、袖の長さを調整しながら扇子などを持った姿勢に仕上げていく作業のことです。雛人形は、頭を制作する頭師(かしらし)、山田さんのような着付け師などそれぞれ分業して制作しているそうです。制作工程のなかでも、着付け師が行う振り付けは、雛人形の姿勢を決める重要な作業でやり直しがきかないため、とても難しい工程とされています。
山田さんは、反物(布地)から雛人形用の着物の採寸取りをし、出来上がった着物の着付けを振り付けを行います。通常、一体の人形を仕上げるのに2、3日ほどかかるそうです。
山田さんは小さいころ、ご両親の人形作りの手伝いが嫌いだったといいます。しかし、大学進学を機に、アルバイト感覚で人形作りに携わったところ、思ったより自分で人形が作ることがきるという、ものづくりの楽しさを味わい、大学卒業後、人形の制作・卸しを行う会社に就職。卸しを行う中で、格調高い雛人形に出会い、ご自身で雛人形を制作することを決意したそうです。
その後、ご両親が経営する山田人形店に入社し、伝統を守りながらも、注文者の思い出の着物やお子さんのお宮参り、七五三の着物などを利用した、世界に一つだけの雛人形を制作されています。また、雛壇を飾る大きなスペースがあまりないという時代のニーズに合わせて、「まめひな」という通常の半分くらいの大きさの雛人形も制作され、とても人気があるそうです。
山田さんは「自分が思い描く理想の雛人形はまだ作れていません。納得できるいい人形が作れても、もっといい人形を作りたいという意欲が湧いてきます。これからも伝統を守りつつ、常識にとらわれない新しい発想で人形を作っていきたい」と話してくださいました。
山田さんの作号は、人形作りを教わった母親から受け継いだ「華悦(かえつ)」。作品をご覧になりたい方や興味のある方は山田人形店(電話04−7158−4125)までお問い合わせください。
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