寒空の中、裸の男衆が餅を奪い合い餅の割れ具合により、その年の農作物の作柄を占う「ヂンガラ餅行事」。雷神社の「鰭ケ崎おびしゃ行事」、赤城神社の「大しめ縄行事」と並ぶ、市指定無形民俗文化財のヂンガラ餅行事が1月12日に、三輪茂侶神社で行われました。古くから伝わるこの行事は、ヂンガラ餅保存会(堀江啓亮会長)により運営され、この奇祭を一目見ようとする見物客で参道は埋め尽くされました。
縁起がいい末広がりの「八づくし」で、以前は今年と同様に毎年1月8日に行われていましたが、現在は8日に近い日曜に、8升の御神酒と8升の鏡餅(上3升、下5升の円い重ね餅)、野菜や果物、海産物など8種類の供物が神殿に供えられました。社殿には同神社の氏子や来賓など約25人が集まり、大太鼓を合図に式典が開式。諏訪神社の上田権禰宜により修祓の儀、献餞の儀、祝詞奏上、玉串奉天などが、習わしにのっとり厳粛に執り行われました。次の年の当番へ引き継ぐ「当渡し」が行われ、スルメをつまみに杯が交わされました。
「餅取り」を行うため、社殿の畳を上げ、窓ガラスを取り外し、準備が整うと、大太鼓の音が鳴り響き、社務所に控えていた男衆が法被を身にまとい登場。参道には、見物客が花道をつくり、紙吹雪が舞う中をゆっくりと男衆が社殿に向かいます。
社殿に上がると、いよいよ餅取りが始まります。上半身さらし一枚になった男衆のなかに、鏡餅の下の部分、5升の餅が投げ入れられると「わっせ、わっせ!餅を上げろ!餅を上げろ!」と餅を求めて両腕を延ばしながら、男衆は9メートル×6メートル程度の社殿のなかを四方八方に激しく移動。激しい掛け声とともに、汗が周囲に飛び散り、激しい揉み合いが続きます。ときには社殿の外にまでも飛び出す白熱ぶりに、見物の皆さんは大いに沸きました。
25分ほどの激しい揉み合いの末、男衆が代わるがわる柱に餅を打ちつけ直径40センチほどの餅は真二つに。「お〜っ!」という歓声とともに大きな拍手が鳴り響きました。半分になった餅を手にした上田権禰宜が「今年も豊作間違いなしでございます」と宣言すると、さらに大きな拍手が起こりました。餅取りに使われた餅は、食べると風邪をひかなくなると言い伝えられ男衆に配られます。
参道では、みかんや紅白餅の振る舞いのほか、流山市ふるさと産品にも認定されている江戸川台の和菓子屋「藤屋」さんが神社に奉納した和菓子「ヂンガラ餅」も販売されました。両親と一緒に見物に来た小山小5年の矢野陽大君は「3年生の時の調べ学習で、この行事のことを知りました。初めて見たけど、ものすごく力強く、熱気が肌で感られました」と話し、一緒に見に来た同じく小山小3年の倉田はるなちゃんも「こんなに力強いもの見たことがない」と驚いていました。
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