7月14日(日曜)、生涯学習センターで、自閉症の方などによる絵画の共同制作が行われ、横5メートル、縦1メートルの大きなキャンバスいっぱいに、参加者は思い思いの絵を描きました。完成した作品は今後、イギリスや中国など世界各国で展示される予定です。
18日まで同センターで開催中の展示「言葉を越えて〜自閉症の子どもたちとアーティストのコラボレーション」に伴い企画されたワークショップで、市内の福祉施設に通所する自閉症の方など4人と東部中美術部の生徒33人、美術作家8人が参加。このワークショップは、言葉におけるコミュニケーション障害である自閉症の方とそうでない方が同じ紙の上に絵を描くことで、言葉に頼らないコミュニケーションを図る試み。制作は2部屋に分かれ、ひとつはオープンなロビーで、もうひとつは窓のないこじんまりとした小さなギャラリーで行われました。
ロビーでの制作はパフォーマンス重視。テンポのはやい音楽をバックに、生徒たちは塗料を直接手に取って紙に投げつけたり、足に塗って紙の上を歩いたりと、普段の部活動ではしない描き方に興奮気味。一緒に絵を描いた自閉症の三室さんも普段より気持ちが高ぶっているらしく、生徒たちとの共同作品とは別に単独で文字による作品を即興で仕上げました。自閉症の方の社会参画などを支援する団体AOArt主催で、作家の石原李華さんは「障害のある方とない子どもたちとの間に言葉によるコミュニケーションはなくても、みんな全身を使って表現していることで、みんなが同じ気持ちを共有して絵に向かえている」と言葉に頼らないコミュニケーションのあり方を教えてくれました。
一方のギャラリーでは、周囲の音に敏感な自閉症の方が参加しており、ロビーとは違って落ち着いた空間となっています。18日まで開催中の展示にも出品している自閉症の山本健太郎さんもワークショップに参加しており、細やかな線と鮮やかな色彩で大好きな鳥を描きます。大好きで幾度となく描いている孔雀のほか、日本画家の藤島大千さんが山本さんのために自宅から持ってきてくれたセキレイも描き入れました。
ひとりで描くのとは違う共同制作のため、生徒たちは周りを気にして何を描こうかと遠慮気味でなかなか筆が進みません。それでも少しずつ描いていくうちに、隣の人が描いている絵に書き加えたり、またそこから湧き出たイメージをもとに絵が派生していったりと、段々とひとつの調和された作品にまとまっていきます。藤島さんは「それぞれが好きに描いていますが、障害者の方も生徒たちも自然と色調を合わせるなど、無言でコミュニケーションをとっています」と話します。
約90分間のワークショップで3枚の絵を完成させました。東部中3年生の角田琴美さん、町田奈美花さん、嘉村雪月さんは「はじけちゃった!新鮮な気持ちで楽しかった!」と感情を露わにし、石原さんは参加した生徒たちに「今日感じた自由な気持ちを大事にして、今後の制作に励んでください」と話しました。今回制作した作品とこれまでのものを合わせた中から何点かをユネスコの Art Child によりオークションにかける予定で、落札された場合は自閉症の子どもたちのために使われます。また、イギリス、中国をはじめ世界各国で展示される予定になっています。
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