4月20日(土曜日)、流山市文化会館大ホールで、NPO法人こころの健康を創造する会creation HIT(理事長:ひだクリニック院長肥田裕久氏)主催(流山市など8団体が後援)による「ある日突然、その時あなたは!」と題した、認知症理解と東日本大震災時の被災者の心のケアに関する講演会が開催されました。
市民の関心の高さもあり、300人以上の市民が参加されました。開会に先立ち、染谷健康福祉部長から、今回の講演会の意義と、市が昨年立ち上げた、孤独死防止と要援護者支援体制の整備を目的とした「流山市地域見守りネットワーク」を推進していく旨の挨拶がありました。
第1部は、ひだクリニック院長肥田裕久医師から、認知症の理解について講演です。少子高齢化が進む中、流山市の人口と高齢化率の数字を参考にしながら、認知症はだれでもがなりうる身近な病気であること。病気の原因や早期発見が大切であるといったお話しがありました。
第1部の特別講演として、はるばる北海道えりも町から来ていただいた保健師の山崎英子氏による、認知症の高齢者を支える地域の取組みについて、実際の事例を紹介しながら説明がありました。
えりも町では、高齢者に対する施設や専門スタッフが少ない現状のなかで、地域で暮らす人々(銀行員、郵便局員、商店の人、民生委員、近隣住民、親類等)が、認知症の方にどう接していけばよいのか悩みながら、認知症の方を理解するための努力やその様子の説明がありました。最後に、地域に認知症の方がいることで、地域で見守るための新しいネットワークが育ち、地域全体で認知症の方を支えていく仕組みづくりができるプロセスが大切であるとまとめられていました。
第2部は、宮城県石巻市の宮城クリニック院長宮城秀晃医師から東日本大震災を体験された精神科医師として講演がありました。
東日本大震災では、津波による災害で4日間水が引かず電気・ガス・水道が止まり、食料が乏しい状況の中で孤立し、患者さんと逃げ遅れた近隣の住民の皆さん20人と、救援隊が来るまで助け合いながら過ごされた様子について報告がありました。大きな被害でほとんどの医療機関が機能しない中、被災から11日目に診療所を再開し、多くの避難所を巡回診療する様子など、たくさんのスライドを使いながらの説明でした、当時の状況を思い出し、時折声を詰まらせ涙ぐみながらの説明に、会場の皆さんも涙ぐまれる方が多くいらっしゃいました。
最後に先生から、被災した人々は大切な家族を亡くしたり、家を無くし、いまだ仮設住宅の生活をしている人々がたくさんいらっしゃいます。そうした被災者の皆さんは、どこか心に傷を負っています。「頑張れ!」と励ますのではなく、まずは、「つらかったね。」「我慢なんかしなくていいんだよ。」と共感することが何よりも大切であると話されていました。多くの犠牲者を出し、いまだに復興が進まない被災地の現状に、私たち一人一人に何ができるのか改めて考え直す機会となりました。
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