寒空の中、裸の男衆が餅を奪い合い餅の割れ具合により、その年の農作物物の作柄を占う「ヂンガラ餅行事」。雷神社の「鰭ケ崎おびしゃ行事」、赤城神社の「大しめ縄行事」と並ぶ、市指定無形民俗文化財のヂンガラ餅行事が平成27年1月11日に、三輪茂侶神社で行われました。古くから伝わるこの行事は、ヂンガラ餅保存会(堀江啓亮会長)により運営され、この奇祭を一目見ようとする見物客で参道は埋め尽くされました。
縁起がいい末広がりの「八づくし」で、以前は毎年1月の「8日」に行われていましたが、現在は8日に近い日曜に、8升の御神酒と8升の鏡餅(上3升、下5升の円い重ね餅)、野菜や果物、海産物など8種類の供物が神殿に供えられ、また、8種類の具材を入れたけんちん汁が用意されました。社殿には同神社の氏子や来賓などが集まり、大太鼓を合図に式典が開式。諏訪神社の上田権禰宜により修祓の儀、献餞の儀、祝詞奏上、玉串奉天などが、習わしにのっとり厳粛に執り行われました。その後、次の年の当番へ引き継ぐ「当渡し」が行われ、スルメをつまみに杯が交わされましたが、現在は保存会により行事は行われているため、形式上の実施となります。
「餅取り」を行うため、社殿の畳を上げ、窓ガラスを取り外し、準備が整うと、大太鼓の音が鳴り響き、社務所に控えていた男衆が法被を身にまとい登場。参道には、見物客が花道をつくり、紙吹雪が舞う中をゆっくりと男衆が社殿に向かいます。
社殿に上がると、いよいよ餅取りが始まります。上半身さらし一枚になった男衆のなかに、鏡餅の下の部分、5升の餅が投げ入れられると「わっせ、わっせ!餅を上げろ!餅を上げろ!」と餅を求めて両腕を延ばしながら、男衆は9メートル×6メートル程度の社殿のなかを四方八方に激しく移動。激しい掛け声とともに、汗が周囲に飛び散り、激しい揉み合いが続きます。ときには社殿の外にまでも飛び出す白熱ぶりに、見物の皆さんは大いに沸きました。
30分ほどの激しい揉み合いの末、男衆が代わるがわる柱に餅を打ちつけ直径40センチほどの餅がついに割れると、「お〜っ!」という歓声とともに大きな拍手が鳴り響きました。割れた餅を手にした上田権禰宜が「今年も豊作間違いなしでございます」と宣言すると、さらに大きな拍手が起こりました。餅取りに使われた餅は、食べると風邪をひかなくなると言い伝えられ男衆に配られます。
平和台にお住まいの神尾那政さんはお孫さんの祐星くん(5歳)を連れて見物に訪れ「離れて住む子ども夫婦が孫を連れて実家に来ていたので、ぜひ地元の珍しいお祭りを見せてあげたいと思い連れてきました。喧嘩をしているように見えたみたいで怖い怖いと言いながらも楽しんでいたみたいです」と話しました。行事後には、みかんと紅白餅が振る舞われ、また、流山市ふるさと産品にも認定されている、江戸川台の和菓子屋「藤屋」さんの和菓子「ヂンガラ餅」の販売もされました。なお、行事の様子はJ:COM東葛・葛飾で取材され、翌日のデイリーニュースで放映されました。
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