ページ番号1029221 更新日 令和2年11月28日
令和2年10月31日(土曜日)、初石公民館で市民公開講座を開催しました。この講座は毎年「流山市在宅医療連携推進事業」の一環として、市民の方や市内で医療・介護に従事する専門職の方を対象に開催しているものです。今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、会場とオンライン上での開催となり合計65人の参加がありました。
今回は、認知症介護研究・研修東京センター副センター長(兼)研究部長の永田久美子さんを講師に迎え、認知症を抱えていてもそうでなくても、地域の中で共に希望を持って自分らしく暮らし続けることができる社会について、また意思決定の在り方について、以下のとおり講演いただきました。
1.認知症のイメージを変えよう!
認知症は65歳以上の約20%、予備軍の方も含めると30%近い方が発症し、65歳未満で発症する方もいます。認知症は特殊なことではなく、自分事です。認知症の人は「自分の一歩先を行く人」なのです。「認知症を発症すると悪くなる一方」とのイメージは、この10年で大きく変わっています。地域のつながりや理解、支え合いがあると、自分らしい状態を大きく崩さずに地域で暮らし続けることができます。
自分が忘れても自分を覚えていてくれる人が周りにいることで存在不安が和らぎます。本人の良いところを探して自信低下を防止すること、知っていることを話題にするなど、楽しみがあると障害が最小となり症状は緩和し心身状態が安定します。しかし、一部の人だけで支えるには無理があります。地域の人や医療・介護の専門職がそれぞれの得意なことでカバーし合い、つながることが必要です。
[画像]写真:講演の資料(45.8KB) 認知症の人から「何かの役に立ちたい」との声を多く聞きます。本人の声をもとに、やりたいことや得意なことを、あらゆる世代が一緒に行うことで交流が活発になり、お互いにとって暮らしやすくなる、そんな町づくりが全国で広がっています。
本人のやりたいことや得意なことを大事にすれば活躍できることがあります。畑仕事は、若い世代にとっても居場所になっていますし、防犯活動では本人が子どもの登下校を見守ることで、認知症の本人を見守ってくれる町の人が増え、家族の負担が軽減されています。
絶望の発想を塗り替えて希望を持つことが大切です。認知症は自分事で、本人が主人公。自分で決めることで自分らしさが保たれていく面が多々あります。周囲が決め、一方的に支援するのではなく、本人ができることを大切に、一緒に支え合って暮らしていきましょう。
認知症が進んだ人でも、本人ができることがあるはずだと周りがあきらめず、本人の声を聴き地域の関りがあると自分らしさを持ち直してくれます。
2.一人ひとりが、自分らしく暮らし続けよう〜そのための意思決定と地域の支え合いのポイント〜
「認知症になってもよろしく」と言える仲間の存在は非常に大きく、認知症は隠す時代ではありません。自分はどんな暮らしがしたいか、認知症になってからも続けたいことを書き記したり、誰かに話すことが必要です。思いつかない時は、仲間と話してみてください。誰かに話しているうちに自分が気づくこと、見えてくることもあります。
認知症の人は、周りの理解が得られ、ゆっくりと考えて言葉が出せるような環境であると、意思をまとめたり、表明することができます。その意思を少しでも実現するため支え合いをする、この流れが大切です。話せないが字は書けるという認知症の人もいますし、家族や友人など身近な人が聞き取るという方法もあります。介護職だけでゆっくり本人の思いを聞くには限界がありますので、地域の人もゆっくりゆっくり話を聞きながら、本人がどうしたいか聞き取る活動をする時期に来ています。そして、本人から出た小さな願いを聞き流さずに、皆で話し合っていくと叶っていきます。地域の人と専門職が少しずつ力を出し合って、ちょっと一緒に楽しいひと時を紡いでいってほしいと思います。
以上が、講演の内容となります。会場の参加者からは、「認知症に対する考え方が変わった。このような話を多くの市民に知らせてほしい」などの意見をいただきました。市では「誰もが介護が必要となっても住み慣れた地域で安心・安全に自分らしく生活し続けることができ、希望すれば、最期は自宅で亡くなることができる」を目指して、事業を展開しています。今後も、市民の皆様へ様々な形で在宅医療介護に関する情報を発信していきます。
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