ぐるっと流山 鰭ケ崎おびしゃ行事


ページ番号1017332  更新日 平成30年1月22日


七福神が鬼の顔の的に矢を放つ

[画像]写真:鰭ケ崎おびしゃ(45.7KB)

 平成30年1月20日(土曜日)、鰭ケ崎の雷神社で「鰭ケ崎おびしゃ行事」が行われました。この行事は、かつては1年の当番7人が耕作した備社田(神社が所有する田んぼ)で収穫された米や野菜を奉納し、五穀豊穣や家内安全を祈願する行事でした。現在では、備社田の耕作はありませんが、祝詞奏上、玉串奉天、トウ渡し、的撃ち、直会(なおらい)、送り込みなどの一連の儀式が江戸時代の享保年間(1716年)から脈々と受け継がれ行われており、昭和52年には市内初の市指定無形民俗文化財に、平成6年には県の記録選択文化財となっています。

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 「おびしゃ」は弓を射る「歩射(ぶしゃ)」からきているといわれる、利根川流域で多く見られる正月行事です。鰭ケ崎のおびしゃは、多くの行事が土・日曜に行われるようになっている中、曜日に関係なく毎年必ず1月20日に行われています。両側をマンションに囲まれ、住宅地の中にひっそりとたたずむ雷神社。新聞社やJ:COMなどの取材のほか、儀式が始まる15時には、カメラを持った一般の見物客も多く訪れました。

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 平成22年からは行事の前に鰭ケ崎小学校に七福神が出向いて課外授業を行っていますが、今年は土曜のため行われませんでした。社殿では、諏訪神社の古谷和史宮司による祝詞奏上や玉串奉天から始まり、続いて、新旧の7人の当番が引き継ぎを行う「トウ渡し」の儀式。色鮮やかな衣装を身にまとった旧当番の七福神と、裃に身を包んだ新当番が向かい合い、神酒を酌み交わして引き継ぎを行います。当番の中心となる「初戸(ハナト)」は、宮田弘明さんから洞下久吉さんへと引き継がれました。

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 そしていよいよ儀式の最大の見所でもある「的撃ち」の始まり。大勢の観客が見守る中、拝殿から鳥居側に据えられた赤鬼・青鬼の的に向かって紅白の弓矢で射抜きます。今年は命中はありませんでしたが、的をかすめたものがいくつかあり、観客を安心させました。なお、鬼の的は、現在は印刷ですが、かつては当番の方の手描きで、毎年変わる鬼の表情がなかなか味わい深かったといいます。

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 的撃ちのあとは「送り込み」です。送り込みは、花で飾られた軽トラックに酒樽や味噌樽、おびしゃに使う道具などを乗せ、七福神や護持会の皆さんの先導で、道具を引き継ぐ儀式です。従来、送り込みは行事の最後に行われていましたが、近年は直会(なおらい)の前に行われています。七福神の皆さんが町内をぐるりと回ると、地域の方々が道で出迎えて、みかんなどが配られました。

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 神社に戻ると直会(なおらい)が始まります。直会は、行事で奉納したものを皆で食べる宴会のようなものです。上座には、大根の胴にねぎの首を付けた鶴と、聖護院大根の体にゴボウの頭を付けた亀の飾りが置かれ、氏子の皆さん、新旧の当番が左右の席に分かれます。

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 しばらくすると、恒例の赤城保存会によるお囃子と神楽の奉納です。獅子舞が威勢よく座敷の中を舞うと、次々におひねりが投げ込まれ、列席者の頭を噛むなどして回ります。お酒の入った杯を渡されて勢いよく飲み干す獅子舞に、皆さんから喝采が起こりました。

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 次に披露した神楽は、狐とひょっとこによる「種貸し」です。この種貸しは、五穀豊穣を願って舞うもので、おびしゃ行事で連綿と受け継がれています。狐の種まきを田吾作が邪魔する内容で、演者のひょうきんな動きに宴席は笑い声に包まれ、大いに盛り上がりました。

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 その後、閉宴となり、一連の儀式は幕を閉じました。鰭ケ崎おびしゃ行事保存会の会長・鈴木正彦さんは「旧当番の皆さん、1年間お疲れさまでした。代々続いてきたこの行事を、今後も末永く守っていきたい。新しい当番の皆さん、1年間のお務めをよろしくお願いします」と話してくださいました。
 新しい7人の当番は年4回行われる「おこもり」や、分雷(わけいかづち)神社への代参など1年間のお務めを行い、来年の1月20日には、また七福神の姿を見せてくれます。


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